フォデラ嬢

ギターはその形のイメージからか、女性に例えられることがあります。

先日も友人のベーシストから「おたくのフォデラ嬢は元気ですか?」なんていう
メッセージをもらいました。

なるほど。フォデラのベースはどこかお嬢様っぽいかもしれません。

今では高級ブランドの代名詞みたいになってしまったフォデラですが、
30数年前はまったく無名でした。

 

僕がこのベースに出会ったのは大学を卒業した年。
御茶ノ水の某楽器店に勤めていた友人から、

「おいおい、なんか知らないブランドだけどすごいベースが入ったよ。
しかも新古品で安いし、パーシー・ジョーンズのポスターまで付いてるぞ。」
と連絡をもらいました。

パーシー・ジョーンズは僕のアイドルだったので、すぐに駆けつけ、試奏させてもらいました。

しっとりと手になじむネックの感触
適度なボディの重量とバランスの良さ
造りの素晴らしさと木目の美しさ

たしかに見たことも聞いたこともないブランドでしたが、その時
フォデラ嬢は「私を連れて帰って」と僕の耳元でそう囁いたのでした。

僕はすぐさま、持っていたミュージックマンのスティングレイ・ベースを下取りに出し、
彼女を連れて帰りました。
それ以来、彼女とはずっと同居生活が続いています。

 

「んめごのホデラは元気だが?」

となり村の名ギタリストYさんは、会えばいつもこう言って彼女を心配してくれます。
新しいハンドルネームは、その先輩からいただきました。

by ほでら