~何か一人前の大人になったようで、いい気分~

「はじめは、どせうなど、うまいともおもわなかったけれども、底の浅い鉄鍋を前にして、薬味の葱を泥鰌の上へ盛り、煮えあがるかあがらないかというときに、引きあげて食べる。そういうことをしていると、何か一人前の大人になったようで、いい気分だったのである。」

池波正太郎のエッセイ「散歩のときに何か食べたくなって」からの一文です。

前々から「どぜう鍋」に興味はあったものの、なかなか行く機会も勇気もなく…40代に突入して「もうそろそろいいかな?」というタイミングで東京に行く機会があり、まだ冬の名残の肌寒い時期に浅草の老舗「駒形どぜう」さんに行ってきました。

雨の降りしきる日曜日の午後、昼食には遅い14時過ぎですが…店内は満席に近いくらいの盛況です。座敷席かテーブル席か聞かれたので、一人ということもありテーブル席を選択~地下フロアへ案内されます。

メニューには食べやすく骨を取って開いた「どぜうさき鍋」と卵とじの「柳川なべ」もありますが、どじょうを丸ごと使った「どぜう鍋」と燗酒一合をオーダー

あっという間にお酒が登場~程なくして炭火がセットされ、どぜう鍋も出てきました。

「どじょうは予め火が通っていますので、ネギをたっぷり載せてネギがしんなりしてきたらお好みで山椒か七味でお召し上がりください。割り下がなくなったら焦げますので足してください」とひと通り食べ方の説明を受け、煮えるのを待ちます。

お酒をちびりちびりと飲みながら鍋をつつくイメージだったのですが、これが想像以上にせわしなく忙しい…鍋が浅くてすぐに割り下がなくなる(焦げる)ので割り下をつぎ足し、そんなことをしているとネギがしんなりしてくるので、慌てて食べる、ちょっと飲む。また焦げそうになる~割り下を足す~食べる…飲むの繰り返しで、お酒もそこそこにあっという間に完食!

泥臭くもなく変なクセもなく、おまけに子持ちで卵が入っていて美味しいのですが、とにかく慌ただしくて食べたようでありません。肌寒い日だったのに食べ終わるころには汗だくでした…

周りを見渡せば2~4人くらいで一つの鍋をつついています。どうやら複数人で来て鍋をお替りする方がゆっくり食べられる様でした。

 

 

仲見世通りをひやかしつつ小腹を満たそうと揚げ饅頭など物色するものの、日曜の仲見世は外国語が飛び交い、観光客でごった返し…おまけに雨も強くなってきます。

ホッピー通りに後ろ髪をひかれながらも雨宿りしようとアーケード商店街~日本で最初の地下街「浅草地下商店街」へ…ここは異空間への入り口です。

いつ無くなってもおかしくないようなこの空間、ここは平成29年の現代なのか??…まるで昭和の時代へタイムスリップしたようです。

結局はどぜう鍋だけで満足するはずもなく…改札前のお店で「焼きそば玉子のせ」をオーダー

濃いめの味付けで太目の麺を瓶ビールで流し込み~ようやく「一人前の大人になったようで、いい気分」になったのでした。

byビタミンQ