君が袖振る

和銅元年(708年)に、北に領域を伸ばして出羽郡を新しく設置してから、

和銅5年(712年)に、出羽郡が出羽国として分離するまでの僅か数年間が、越後国の最大だった期間です。

三日市の諸上寺は、その時期の越後国の国府の跡だという説を発表している歴史研究家もいます。

江戸時代には、諸上寺の住職が社殿の鍵を開けるところから岩船祭りが始められたというのを

何かの文献で目にした記憶があるのですが、いずれも真偽はわかりません。

 

慶雲3年(706年)飛鳥の貴族、威奈大村(いなのおおむら)が、越後守として任官しています。

 

今回の本題は威奈大村ではなく、大村の姉の額田王(ぬかたのおおきみ)です。

 

大海人皇子(天武天皇)の妻(の一人)でありながら中大兄皇子(天智天皇)に寵愛された、

つまりロイヤルスキャンダルのヒロインであります。

 

万葉集にある額田王の歌

 

      茜指す紫野行き標野行き野守は見ずや君が袖振る

     (あかねさす むらさきのゆき しめのゆき のもりはみずや きみがそでふる)

 

言葉の調子がとても心地よい、「声に出して読みたい日本語」の一つですね。

(写真はイメージです)

 

紫野は、天皇の衣装の染料をとるためのムラサキクサの畑、

標野は、天皇家の料地のため立ち入り禁止ということ。

 

ロイヤルファミリーの園遊か何かのときに、彼氏がラブサインを送ってきて

「ヤバい。でも嬉しい。」の女心です。

 

「源氏物語」を持ち出すまでもなく、古典も恋の花が咲き乱れています。

歌垣(かがい)の風習など、古来、日本人は歌を媒体にした大らかな恋を謳歌してきました。

小野小町 ・・・ 与謝野晶子 ・・・ 俵万智 ・・・

そして現在の日本、岩船にも脈々と続いているかもです。

 

by 転がる石