こないだまで一番だったレコード

オレのコレクションの中で一番高額なレコードは、フランク・ザッパの
「20 Years of Frank Zappa」シルバー・エディションだった。

オレがこれを手に入れるまで、実に20年以上かかった。

これは12枚組になっていて、世界に25セットしか存在しない。
ザッパ・コレクターにとっては、おそらく最難関の一つ。
しかもナンバリングされており、12枚全てが「ナンバー1」という代物である。
といってもブート(海賊盤)なので、音はそれほど良くない。

イタリア人のコレクターから直接3,000ドルで買った。

ある日ネットでなんとなく検索していたら、たまたまこの人のホームページにたどり着いた。
彼は個人売買をやっており、「私の希望額以上だったら譲るよ」という単純な仕組みだった。

「先日2,000ドルで譲ってくれと言ってきたアメリカ人がいたけど断ったよ。」
みたいなことがこのレコードの説明として書いてあった。
こりゃ相当高いなと思いつつ、オレは「3,000ドルでどう?」と酔った勢いでメールを送った。
正直、3,000ドルでも無理だと思っていた。
そしたらすぐに「いいよ!」と返信がきたのだ。
おまけにメールの最後には「Arigato」って書いてあった。

予想外の展開に驚いたオレはカミさんから借金し、送料も含め35万円分の小切手をイタリアに送った。
高額な取引だったが、彼はとてもフレンドリーで信用できそうだったのであまり不安は感じなかった。
でもやっぱり、モノが無事に届いたときの安堵感は今でも忘れられない。
ちなみに彼は、3.11の時にもオレを心配してメールをくれた。とってもいいヤツなのだ。
(借金は、ベース・ギターを1本売り、後日お返ししました。)

実はつい最近までは、これが一番高い金を払ったレコードだった。(一枚あたりの値段ね。)
手に入れてから20年近くも、オレのレココレのトップとして君臨してきた。

ところが昨年、あっさりと2枚のレコードがこれを抜き去ったのである。

続く。

by ほでら