感謝

先日、大叔母が亡くなりました。享年96。
大往生と言える最後だったと思います。
ひとり身で子供のいない人でしたが、姪であるうちの母達の世話を焼き、
その子である私たちを孫のように可愛がってくれました。
特に私は物心つく前から面倒をみてもらっていました。
ちょうど母が商売を始めた頃に産まれたものですから、忙しい母の代わりに朝から晩まで大叔母が世話をしたのだとか。
大叔母が押す乳母車に窮屈そうに乗っている私の写真が何枚もアルバムにあります。

権現様の近くに住んでいるから「ごんげんばぁちゃん」。
週末にごんげんばぁちゃんの家に泊まりに行くのが楽しみで仕方ありませんでした。
幼い私にアメを舐めさせる時も、喉につっかえてはいけないと石でアメを小さく小さく砕くしぐさが今でも記憶に残っています。
とても心配症のばあちゃん。
口癖は「あいまぢすんなよ」。
テレビ番組でよくあるホームビデオのハプニング映像。
子供が転んだり落ちたりする映像が流れると不機嫌そうにチャンネルを変え、親の不注意に腹を立てているものでした。
一度、遊んでいる途中で私が行方不明になったことがあり(真相はだまって友達の家に行っただけ)、その時は狂ったように探し回り、見つかった時はヘナヘナと腰から崩れ落ちたそうです。
私を育てた当時60代から70代。
人並み以上に重たい私を抱いたりおぶったり、追いかけたり。
さぞかし重労働だったことでしょう。
そんな恩を忘れ、中学高校となると遊びに行く回数も減り、しまいには何か用事でもないと顔を出さないようになってしまいました。
よくある話しです。
その後もろくに孝行もできないままでしたが、唯一よかったなと思うのは私の子供を見せてあげられたことでしょうか。
私の子供を抱きながら「大事にせーよ。目ェ離すな。」と何度も何度も言っていました。
言われた通り、この子たちをあいまぢさせぬよう大事に育てていくことが恩返しになるのかなと思います。

今一度、感謝の気持ちを思い出し・・・。
ばあちゃん、ありがとう。

by ラ―定