本末転倒③

先日、小池都知事の「2030年脱ガソリン車100%」とか?菅総理大臣が2035年まで電動車(ハイブリッド車等含む)100%を実現とか?『車輪』を見て『井戸』を見ない「本末転倒」発言があった。

 


全くその通りで、走行中の車のCO2排出量を減らせても、火力発電所でバンバン化石燃料を焚いて、タービンを回し火元の熱源エネルギーを(落してでも!)電気に変換し、こんなにも効率が悪く、地球環境も悪化する日本の火力発電所で作られた電気自動車を走らせる意味などあるのだろうか?

更に、大きな熱エネルギーを必要とするヒーターやコンプレッサーを!電池で?動かし、暖房に使うって!?燃費の良い普通のエンジン車の余熱を捨てずに暖房に使う方がよっぽどエコと思うが・・・

 

エネルギーは他のエネルギーに変換すればするだけ、どうしてもエネルギー効率は落ちてしまう。

火力発電では化石燃料が持つエネルギーの70%が失われているとのことです。

熱源から3割しか取り出せないエネルギーを、更に何百Kmもある送電線で各都市に送りエネルギー効率を下げ、それを更にエネルギー効率を落として(ここでも変換し)蓄電池に蓄え、こんなにもエネルギー効率が悪く、多くのCO2を排出する「化石燃料 電気自動車」の何処がエコなのか?。

 

エネルギーを活かす熱効率は(内燃機関に限らず)殆どの物体において
様々なエネルギーに変換せずに『火元で活かすのが、一番効率が良い』と、私は思います。

 

CO2を極力出さずに発電するとなると?原子力発電なのですが・・・(-_-;)
以前、電気自動車のCMに出演する一方で、脱原発を訴えている有名なミュージシャンが居た。
その頃は深夜電力が割安だった為、車を走らせない夜間に充電が良い?としていたのも、一旦稼働したら簡単には発電を止められない原子力発電がエネルギー源だったのは皆様ご存知の通りです。

 

先月マツダがMX30という航続距離を200㎞程度とあえて小さなバッテリーの電気自動車発売した。
 500万円もするけど・・(・・;)

電気自動車がネックの航続距離を延ばそうと、バッテリー容量を大きくすると「ライフサイクルアセスメント」が逆転し、CO2を逆に増加させ、それこそ「本末転倒」になってしまうからです。

小さなバッテリーにしたマツダの判断は正しいと思いますが、火力発電が80%の日本ではCO2排出量が欧州より圧倒的に多く、MX30の蓄電池容量でも削減高価はあまり得られないとのこと。(涙)

 

 

その電気自動車本体を作る根源のエネルギーだけではなく・・・

 

実は、電気自動車の半分を占めるバッテリーがこんな事になっています。(涙)

上記の通り、中国や韓国の火力発電所は石炭を主たる熱源とする為、日本の天然ガスを主とするCO2排出量の2倍もの量を大気中に放出しながら作られています。中国や韓国で大量にCO2を撒き散らしながら作られたバッテリーの電気自動車ではなく、日本のPanasonicが(日本政府が支援してでも)再生可能エネルギーで電気自動車用バッテリーを作れる日が来る事を願っています。

 

走行中「水」しか出さないFCV水素自動車も期待されてますが、その水素を何から取り出すのか?

小池東京都知事は2030年までに水素ステーションを都内150カ所を目標に整備とのこと。
しかし、これまで同様LNG等の化石燃料から水素を取り出したのでは、これも『本末転倒』です。

 

 

「エネルギーペイバックタイム」と言う言葉があります。

 

私が常に感じている製造時エネルギー~廃棄時エネルギーをその発電設備その物が自分で自分をペイ(相殺)できる期間です。自分自身が生まれる為に使われたエネルギーを自らの発電力で取り戻し、その相殺した期間が経過して、初めて環境負荷がマイナスに転じます。

 

風力発電の寿命が仮に20年とすると、それより先に(例えば数年で)ペイバックが出来れば、廃棄されるまでの残りの寿命期間が本当の意味での再生可能エネルギーなのだと思います。
太陽光発電は製造時&廃棄時エネルギーが風力発電より多く、少し時間が掛かるかも知れません。

ですが、化石燃料を原料とする火力発電では、何年経過しようとペイバックは不可能です。

化石燃料の火力発電が80%の日本で作られた電気自動車と、風力発電や太陽光発電など自然エネルギーを主として作られたヨーロッパの電気自動車では、スタートからCO2排出量が全く違うのです。

 

これから電気自動車が普及していくと廃車時に膨大な量の巨大バッテリーが世に溢れ、その行く末も気になります。どんな物であれ「形あるものいつかは壊れます」。使い切ったバッテリーや発電装置もキチンと無害化し、地球に還してこそ本当のエコカーや再生可能エネルギーと思います。

 

もし、日本がこのまま再生可能エネルギーではなく、化石燃料を原料とした火力発電で電気を作り続けるなら『カーボンニュートラル』を達成する事が難しく、トヨタ等の大企業は再生可能エネルギーで発電している欧州に生産拠点を移し、日本の産業は衰退し、雇用も大きく失われる事でしょう。
※現に、日本自動車工業会 豊田章男会長(トヨタ自動車社長)もそう言っています。

 

東京都も日本政府も、単に『電気自動車にして地球温暖化を防ぐ』なんて?保育園児レベルの事を言っていないで『Well-to-wheel/井戸から車輪まで』という考えを真剣に捉えないと、数年後、取り返しの付かない日本になる気がしてなりません。「LCA規制」で自動車業界100万人がクビの危機

小池都知事も菅総理大臣も、発電する根源のエネルギー源を改め、国民も協力し合い、
本当の「Well-to-wheelの電気自動車・カーボンニュートラル」を目指して欲しいと願います。

by Forester

 

※追記※ 同じ火力発電でも、地下から地上に取り出した化石燃料の火力発電と、地上にある木材等を原料としたバイオマス火力発電では(元々が地上のCO2なので)大気中のCO2は増加しません。