未来予想図Ⅲ

①②③とブログを書いてきましたが、ラストに「未来予想図Ⅲ」を書いて終わりたいと思います。

この車「木材」で作られているって信じられますか?

その名を「CNF/セルロースナノファイバー」と言います。知ってる人も多いかな?

鉄鋼や石油プラスチック等に代り、木材で車を作る時代が来るなんて、時代の変化は凄まじく
「豊田章男社長が100年に一度の大変化の時代」と言うのも分かります。



前回のブログ「本末転倒③のコメント」にも書きましたが、
木材は生まれながらにして、CO2の中の炭素(C)を体内に蓄えている素材です。

鉄やアルミニウム等は地下にある化石燃料のCO2を「放出」して作られるのに対し、CNFはCO2放出どころか?CO2を「固定」しているので(これまでの木製品同様、使ったら植え育てることで)真逆の作れば作るだけ大気中から炭素を地球上から減らして(固定して)地球温暖化を防いでくれます。

木を間伐し、より良い建築材を育てたり、地球温暖化を防ぐ効果や、残した木々に根を這わせしっかりた土壌を作るのは存じの方も多いかと思いますが、実はそれだけではなく・・・

杉人工林は広葉樹の天然林の約2倍もの量のCO2を吸収します。だからと言って、広葉樹の天然林は(落ち葉によって)杉人工林では少ない動植物が生きて行く上で大切な栄養分を生み出す地球上最も大切な存在です。要は杉人工林で温暖化を防ぎ、広葉樹で養分を作る役割分担みたいな感じです。

 

更に、木も(人間や動物同様に)年老いたら食べる量(CO2吸収量)が極端に減ります。

山の木々も人間同様20歳前後が一番CO2吸収量(地球温暖化防止効果)が大きいのです。

※これは20歳位の杉や桧の間伐時期とほぼ同じで、正に伐期の適齢期です。

食べ盛りの20歳代の杉にCO2を満腹にしてもらってから間伐し=炭素を固定してもらい
(現代は昭和の時代と違い間伐材を用材として活かす場所も少なく)
この若い20歳代の間伐材をCNFの原料として使うのが一石二鳥かと私は思います。

 

また、その炭素=Cを蓄積した木材を使い木製品や木造住宅を作るということは(ウッドマイレージが近ければ近い程=『地産地消の木材』なら更に)桁違いにCO2排出量が少ないのです。

更に日本の木造住宅は杉人工林の実に1/2の量のCO2を固定し温暖化を防いでくれています。

「木造住宅は(地球温暖化を防ぐ)街の森」と言われる由縁です。
3m105mm角の柱1本で約6㎏、30坪の木住宅で約5ton。当社の社屋で約20tonのCO2を固定。

 

少し脱線したので、本題のCNF/セルロースナノファイバーの話に戻ると・・・

しかも「鋼鉄の5分の1の軽さ」で車の燃費も良くなり、物流のCO2排出量も減らせ、鉄鋼の5倍以上の強度や耐膨張性などにも優れ、ビルや橋などの大規模建設物も軽く丈夫に建設が可能です。

そうなれば、上の棒グラフの「鋼材」の部分は「CNF」に変わり、CO2排出量はほぼ0になります。
これは本当に人類史上始まって以来の革命的な出来事です。産業革命以上かも知れません。

医療品や常に使う日用品も、石油プラスチックから(木材由来のCNFへと変わり)生まれながらにしてCO2を固定し、軽さ1/5&強度5倍の次世代素材として今後の普及が見込まれています。

 

このセルロースナノファイバーを最初に発見した人は、なんと日本人(斎藤さんという人)です。
※個人的には、この斎藤さんに「ノーベル化学賞」をやって欲しいです。

数年後、このCNFの技術が確立され、量産化されれば、世の中は激変します。

 

懸念されている(化石燃料が由来の)廃プラ問題も一気に解決へ向かうかも知れません。

だからと言って(CNFが木や植物由来の自然素材だからと言って)ポイ捨ては絶対ダメです!。

 

 

日本には春夏秋冬の四季があり、国土の70%を森林を占め、世界的にも珍しい森林大国。
日本は「木の文化の国」とも言われています。
古くは出雲大社から歴史的建造物は全て木材で作られ法隆寺は築後1300年にも達します。

私が20数年前に県から委託され、こんなパンフレットの作成と執筆をしたことがありました。
日本の気候風土に適し、理にかなった地産地消の木造建築や伝統文化はとても大切です。

しかし、建築材や家具に不適合な木材や、健康な森を作る上で欠かせない反面、現在は使われなくなった間伐材を原料とすれば、鉄やアルミ・プラスチックの代りとなる「セルロースナノファイバー」は、地球温暖化を防ぎ、強くて軽い素材革命と言うべき次世代の救世主になると思います。

生まれながらにしてCO2を固定し、最軽量で強度も抜群。こんな一石三鳥な素晴らしい新素材CNFの技術開発・量産化は、これからの地球を希望あふれる輝く未来へと明るく照らしてくれています。

 

私の親父も、お隣のお父さんも、あと2年で90歳。お隣さん斜め向いのお爺さん(取引先の会長さんで半世紀前に我が家を建てた棟梁)は更に5歳年上ですが、皆さん元気に毎日を過ごしています。

彼らが生まれた90年前はこんな現代は想像もつかなかった事でしょう。

 

木の年輪は冬に作られます。(日本の様に冬のない国では木に年輪はありません)

今年大雪が積もった冬、年輪をまたひとつ刻み、今、春を迎え岩船保育園の桜は満開です。

4月に入園する園児たちも、私の親父やお隣や斜め向かいのお爺さんの年齢になる時が必ず来ます。
また、その園児たちも同じ頃(90歳)には、可愛いお孫さんが居る事でしょう。

90年前の日本/90年後の日本、その180年の中間に私たちは生きています。

産業革命・明治維新以後、僅か100年の年月で人々は地球を病(やまい)にしてしまいました。
それでも世の化学者/科学者たちは再びその100年より前の健康だった地球にしようと懸命です。
このような人々の頑張りを知るとこれからの日本に明るい未来が見えて来ます!。

新潟の片田舎でやれる事は知れているかもしれませんが、Foresterの名に恥じぬよう、先祖が残してくれた地球環境に良い素材を扱っていることを誇りに(何歳まで出来るか分かりませんが)希望に満ちた「未来予想図Ⅲ」になれるよう、これかも日々頑張って行こうと思います。

by Forester

 

※お詫び※ ブログ当番当初は、たまたま車を乗り換えたら『アイドリングストップ機構』が着いていてブログネタにし1回の投稿で終わるつもりで、こんなに4つも書く予定ではありませんでした。

コメント頂いた電気自動車の話から、ライフサイクルアセスメント/井戸から車輪/エネルギーペイバックタイム/CNFまで、ついついこんなに沢山書いてしまい誠に申し訳ありませんてした。深くお詫び申し上げます。半年後のブログ当番の際には、もっと気楽な話題で短く書こうと思います。

イラストやグラフが20数年前から当社に貼られた古い物で見苦しくて申し訳ありませんでした。
こんなにブログを書いたのも初めてですが全て読んで頂いた方、本当にありがとうございました。