HIPGNOSIS / ヒプノシス

音楽と自転車

ヒプノシスは、1970年代を中心にレコードのジャケット・デザインを手がけたアート集団である。
集団といっても主要メンバーはストーム・トーガソンとオーブリー・パウエルの2人。
後にピーター・クリストファーソンが加わり3人になった。

手がけたアルバムは、ぱっと思い浮かぶだけでも超大物アーティストが多い。
ピンク・フロイド、レッド・ツェッペリン、ポール・マッカートニー、ジェネシス、ピーター・ガブリエル、
イエス、10ccなど多数。
洋楽ファンなら「あぁ、あのレコードがそうだったのか」と頷くような、誰もが一度は目にしている有名な
ジャケットの数々がヒプノシスのデザインだったりする。
その独創的なデザインはそれまでのレコードジャケットの概念をくつがえし、他のジャケット・デザイナーにも
影響を与え、互いに競うようにして芸術の域にまで高められていった。
日本人では松任谷由実の「昨晩お会いしましょう」と「VOYAGER」の2枚のアルバムをデザインしている。

ただいま、新潟のシネ・ウィンドで「ヒプノシス~レコードジャケットの美学」というドキュメンタリー映画が
絶賛上映中である。【4月26日(土)~5月9日(金)】

オレも二日目の27日に観にいってきた。
日曜日の夜だしガラガラに違いないと思っていたが、上映直前には15人ほどの観客もいて、3分の1が
女性だったのはちょっと意外だった。

シネ・ウィンドでは映画が始まる前に館主さんからコメントがあるのだが、「50部注文した映画の
パンフレットが5部しか届かず、初日にあっという間に売り切れた」らしい。
「残ってるのはTシャツ1枚だけです」と言うので、せっかくだから帰りにゲットした。(高かったけど…)
オレは映画のパンフは2月中にディスク・ユニオンの通販で買っておいたので焦ることはなかったが、
実はこのパンフの出来がすばらしく良いので(なんとヒプノシスの全仕事データも載っている!)、
ゲットできた人はすごくラッキーだったと思うと同時に、「ヒプノシス好きな人、こんなにいたの?」と
その人気ぶりにもビックリした。

映画は前述の大物アーティストたちがヒプノシスとのエピソードを語りながら進行していくのだが、
そのエピソードの一つ一つが、笑えるほど面白い。

中でも一番印象に残ったコメント。
“誰かが良いことを言っていた。「レコードは貧乏人のアート・コレクション。
金持ちは壁にアートを掛け、労働者階級は壁にレコードを立てかける。」”
by ノエル・ギャラガー(オアシス)
(これは映画のパンフにも書かれているので、ネタバレの心配はないだろう。)

洋楽ファンの皆さんには、ぜひ観てもらいたい映画だ。