寝業師

春暖かになりました。

センバツ高校野球も終わり、プロ野球もペナントシリーズが開幕です。

 

今年は気になるチームがある。

昨年のお家騒動から監督退任、ヘッドコーチが繰り上がり監督に、今シーズンも開幕から4連敗の「中日ドラゴンズ」。

 

監督「森繁和」

西武ライオンズ初期黄金期の投手で、球団と現場の関係が決して良好とは思えず戦力にも乏しい中日の、まさに「火中のクリを拾う」かたちになった監督である。

何故そのような苦難を選んだのか、それは恩師と慕う「根本睦夫」の存在が大きいと推測される。

森をドラフト1位で西武に指名したのが、「球界の寝業師」根本である。

根本は「つなぎの監督」「球団の基盤をつくる監督」として、広島・西武・ダイエーの黄金期の定礎を築き上げた人物である。

そんな根本に森が西武入団直後に言われた言葉が、

「お前は50歳までユニホームを着た仕事をしろ。その後は背広を着た仕事で野球界に貢献しろ」

まだ将来性もわからぬ20前半の若者にかけられた言葉だが、

その後、根本が指名し現在も監督・コーチ・裏方で活躍する野球人を鑑みるに、その「人物眼」の確かさに感心する(ちなみに森自身も高校時代、審判の判定に抗議したり、ドラフト1指名を受けたロッテ監督金田正一に直接単身で「自分にはまだその実力がない」と断りに訪問したりしている)。

森監督があえて「火中のクリを拾う」のもうなずける。

 

しかし、二人とも怖そうな見た目とは裏腹に選手からは「厳しいがいいお父さん」の評を受ける人格者でもある(確かに根本にいたっては安藤昇と親交があり、清原が唯一恐れる球団関係者であった)。

根本はダイエー時代にも、新人選手に実話を交えた講話で甘い勧誘への断りかたを厳しく説いていたという。

彼が存命なら、昨今のプロ野球選手の賭博・麻薬事件などにまた違った展開があったのではないかと思える。

 

新潟県選手も入団した「中日ドラゴンズ」の数年後が気になる今日この頃です。

 

 

by823