なんと楽天的な


明治維新は世界史的に見ても「奇跡」と思える、革命の成功例でした。
維新政府のスローガン「富国強兵」「殖産興業」を実現させた魔法は「地租改正」です。
農地に掛かる税を現金納付させる政策によって、
地方の農民は困窮し、男子は兵隊に、女子は女工にならざるをえなくなったのです。
「ああ野麦峠」であります。

テレビのスイッチを入れたらNHKの「坂の上の雲」、再放送だったのでしょうか?
終わりの方だけちょっと見ました。

勉強不足で原作も読んでいませんが、エンディングのナレーションは原作からのようでした。
明治維新から日露戦争までの30年を「なんと楽天的な時代」と表現していました。

進むべき方向を見失った今のこの国で、“明治の気骨”が憧憬をもって称賛されています。

「我の進歩せざるは、国の進歩せざるなり」

当時の若者は、それほどの気概を持って自らを奮い立たせていましたが、
艱難辛苦をものともしない向上心溢れる熱気の時代を、
司馬遼太郎は「なんと楽天的な」と言い表したのでしょう。

ハッとさせられましたね。

民は貧しく、税は重く、足尾鉱毒事件が有り、女工哀史が有り、小作争議が有り、
被害意識を持って顧みれば、かつてないほど過酷とも思える時代に、
未来に大いなる希望を抱いて、坂の上の一片の雲を仰ぎ見るがごとくに
国民が一丸となって坂を上って行ったのだと。

不景気だなんだかんだと、毎日毎日、口を開けば愚痴ばかりこぼしてしまいますが、
明治の人に比べたらこの程度では苦労の内には入らないでしょうね。

被害意識は捨てて、楽天的に新年を迎えましょう。
この国も、この町も、私たちも、まだまだ上り坂の途中なのだと・・・

byガンダルフ

PS 所用につき1時間フライング、ご容赦ください。