走り続ける昭和

──今日の試合は緊張関係にある北朝鮮との対戦だったが、
 その緊張感が試合に影響を及ぼすことはあったか?

 われわれは政治の話をするために、ここに来ているわけではない。
 このサッカーの世界で、友情や信頼、そして喜びといったものを伝えたいと思っている。
 選手たち同士も(試合後に)握手をしていたし、私も相手チームと握手をした。
 私はサッカーファミリーの一員であることに誇りを持っている。

 少しおかしくなっているこの世の中で、われわれはこの社会の最も良い部分を見せる世界にいる。
 そしてそれは喜ばしいことだ。欧州でもアフリカでも日本でも、
 どこの地域にもライバル意識というものはある、
 私はスポーツ面のライバル意識をもって戦っている。そこに政治は関係ない。
 そして今日の試合では、激しい試合ではあったが、スポーツに反するものはなかった。
 その意味で、両チームともたたえたい。
 われわれの政治に対する答えは、このピッチで見せることができた。

つい先日終えたサッカー東アジア選手権で、日本の1戦目、北朝鮮との試合後の
ハリルホジッチ監督のインタビューへののコメントです。

この質問をしたのは海外メディアの記者だそうですが、なんと場違いな。
でも、国内にもこういうとんちんかんな記者はいそうです。

大会の方は、最終の韓国戦で惨敗してファンを落胆させてしまいましたが、
そのテレビ中継でアナウンサーが、お決まりの「運命の韓国戦」を繰り返すのにはうんざりさせられました。

日本代表とはいっても国内組の急造チームで臨んでいるわけで、
WCに向けての選手選考の意味合いが強いのはみんな知っていることです。

もちろん勝ちにはこだわらなければならないけど、
「運命の…」と形容するほどのことでもないでしょう。

気象だろうが、不倫だろうが、世界情勢だろうが、なんでもかんでも大げさにしてしまうメディアが、
ハリルホジッチ言うところの「少しおかしくなっているこの世の中」にしてしまっているのです。

サッカー代表なら心配御無用。
愚かな質問に、冷静に毅然と答える監督に託しているのですから。
これで結果が出なくても、仕方ないのだと納得できます。

今回はもう一つ…

先日、新潟交通の銀バスで村上駅まで行きました。
銀バスに乗るのは高校生以来、40年ぶりのことです。

40年前と運賃が高くなった以外は何も変わっていない。
「窓からかおや手を出すとキケンです」と書かれた、黒地に白の筆文字のプレート。

何より、車内アナウンス
「次は、村上市民会館前」

…使われなくなった体育館を利用したスケートパークで遊んでいた子どもが
メダリストになったオリンピックからもう4年になるのに…

「次は、日本化学前」

…その跡地に建てた家の子どもは、もう大学生になっているのに…

呆れるより、感動的ですらありました。

乗り込んでくる僅かな乗客は高齢者ばかり。
その常連客にとっては、停留所の名前は変わらない方がよいのでしょう。

昭和にタイムスリップしたような空間が、今も毎日、岩船を走っているのです。

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by 転がる石