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新潟漁協が合併した翌年からトップに就任。1,600人を超える組合員を束ね、自ら海へ漁に出るかたわら、夜中は釣り客のために釣り船を出航させる小田組合長。そのパワーはいったいどこから、新潟漁業の現状と今後は、と質問は尽きません。今回は少し拡大して掲載します。
夜中の12時に起きて出港、昼の2時に戻ってきて魚を揚げて氷を入れて、網の修理。新潟で会議がある日は早めに切り上げます。代表理事は常勤ではないけど、1年に120日行ってる勘定ですね。海区漁業調整委員の仕事で水産庁とかも行きます。新潟県には13人いて、県議と同じ菊のバッジをつけるんですよ。広域調整委員というのもあって、これは県に私一人しかいない(笑)。
合併した当初は組合員が2千人いたんですよ。5年間で350人減った。大きい理由は高齢化です。だから水揚げも減ってきた。新潟漁協の主力は、巻き網、イカ釣り、佐渡からの魚の3つなんですが、今、巻き網からのアジやタイが入らなくなった。漁協が合併したころから日本海でこれらの魚が捕れなくなってきたんです。水揚げ高も大きく減っています。
国の後継者支援は、農業にあっても漁業にはなかった。でも、5年前から漁業担い手確保・育成対策事業で補助金が出ます。船舶免許の取得や漁で要る物、着るカッパから何から出ますよ。それで少しはよくなったけど、子や孫に対する助成がなかったんです。漁師に限らず、親は子や孫に家業を継がせたいわけです。だから水産庁にも通ったし、国会議員にも地道に訴えてきた。その結果、と思いたいですけど、今年からやっと補助(新規漁業就業者確保事業)が出るようになりました。
29歳で船を買って始めた若者がいます。うれしいですね。高齢化によってまだ使える船が中古で出ることがあるから300万くらいで手に入る。技術的なことは機械化してるから昔ほど心配はいりません。昔は底引き網だと6人必要だったけど、今は3人いれば十分。船は、子や孫が乗ってくれるなら補修にも力が入るんです。丘に上げたままの船をよく見るでしょう。後継者がいなくなり、壊すこともできなくなった船なんです。
平成5年ころです。お客さんは山形、朝日、あとは岩船の人も多いです。夕方6時ころから行って、港に戻ってくるのは夜中の1時ころです。潮あんばいを見たり、みんなの情報を聞いて、一番釣れる場所へ連れていく。だから入れ食いになると針を落とせば釣れます。お客さんのクーラーボックスが満タンになって、「いやー、船長、よかった」と言ってくれると本当にうれしいですね。
ワインだかもね(笑)。もう20年くらい。フランス製ばっかり飲んでたけど、今は日本のも味がよくなってきた感じです。平成9年の3月、私が組合長になったばかりのときに、「ワイン好きの漁師がいるらしい」という話をどこからか聞きつけ、作家の内館牧子さんと一緒に突然、田崎真也さんが訪ねてきたんです。今も魚を送ったりしてますよ。ビールはあんまり飲まない、腹がバンバンでなるんで(笑)。
組合長はカラオケも趣味。奥さんの運転で、二人仲良くぼーとやさんなどに出没するそうです。夫婦円満も元気の秘訣。「漁師は用がない時は身体を休めないといけないから」という言葉が印象に残りました。
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