失われた音の巻

蓄音機2
みなさんは蓄音機なる物をご存知でしょうか?
アナログレコードの元祖で、音楽を再生する昔の装置です。
電気を一切使わずゼンマイでレコードを回し、その速度は一分間に78回転もの速さでビュンビュン回ります。
先日、初めてその音を聴く機会に恵まれましたので、ご紹介させて頂きます。

再生するには、まずクランクにてゼンマイを巻きます。
次にレコードをセットし、針を乗せます。
「シーッ カサコソ・・・」と盛大なスクラッチノイズが聴こえた後 音が出た瞬間、腰が抜けるほど驚愕しました。
三味線のレコードでしたが、確かに猫の皮を張った胴と弦をバチで叩いている様に思えずにはいられないのです。
その圧倒的な生々しさといい、朗々たる響きと弾けるエナジー感といい、現代の装置では絶対に味わえない美音でした。

周波数特性や歪率等、現代の目から見たらAMラジオにさえ遥かに劣るでしょう。
片面3分で終わりますし、音量調整すらありません。
しかし高速で走る音溝を針で拾い、そのまま軽量な振動板を駆動する単純明快な仕組みは、音楽のスピリットをあますところ無く伝えてくれるものなのではないかと自分なりに解釈しています。
全てがデジタル化され、録音時も再生時も複雑過ぎる回路を通ってようやく出てくる音には、耳当たりの良さとは引き換えに何か大切なものが失われている気がしました。

みなさんも機会がございましたら、是非ご一聴をお薦め致します。
目からウロコに間違いありません。

by ぴ~ひゃら