サイコロ二つ

北海道は暴風雪らしい。

苫小牧はどんなだろう。

 

  苫小牧発 仙台行きフェリー

  あの爺さんときたら わざわざ見送ってくれたよ

  おまけにテープを拾ってね 女の子みたいにさ

 

隠れもなく拓郎マニアである。

拓郎マニアにとって「落陽」は特別だ。

アルバム「ライブ’73」で発表された。

中野サンプラザで録音されたライブバージョンがオリジナル。

ギターは高中正義。

 

一番組界隈では、今でもチンチロリンが楽しまれている。

流行らしたのは、私だ。

30年ぐらい前になるか。

 

チンチロリンはサイコロ3個とどんぶりがあればいい。

技術は関係ない。

シンプルな博打だ。

 

  土産にもらったサイコロ二つ

  手の中で振れば また振り出しに

  戻る旅に 陽が沈んでゆく

 

落陽の歌詞はサイコロが二つ、チンチロリンじゃないのか。

爺さんは丁半博打か?

 

最近になってネットで、作詞した岡本おさみさんの記事を見つけてわかった。

 

旅先の苫小牧でフーテン暮らしの爺さんと知り合った。

爺さんは「賭場見にいくか」と誘ったそうだ。

その賭場で爺さんはチンチロリンに加えてもらえなかった。

ツケが溜まったままだったから。

 

知り合った若者と別れる時、爺さんが土産にやれるものはサイコロしかなかった。

 

「あんたはバクチは向かない。だから三つじゃなくて、二つだ。」

 

優し過ぎるから、身を持ち崩したんだな。

 

  サイコロ転がし 有り金無くし

  スッテンテンのあの爺さん

  どこかで会おう 生きていてくれ

  ろくでなしの男たち 身を持ち崩しちまった

  男の話を聞かせてよ サイコロ転がして

 

そんな歌に惚れ込んで大人になったから。

 

でも今はサイコロじゃなくて、機械が回すルーレット。

 

「話になんねえ」

爺さんが見たら、けなすだろうな。