熱く語れ

先日、村上職業訓練校で講師をした。

 

もちろん初めてのことだ。

観光業に従事する新人従業員向けのカリキュラムで

「地域の歴史、伝統、文化を学ぶ-岩船編-」を担当した。

 

講座の目的としては、

「観光客に尋ねられたときに答えられるように地元の知識を身につけましょう」

ということだと理解した。

 

岩船なら、古い歴史、岩船神社、岩船祭り、港町、魚釣り、

これぐらいかなと。

要点だけなら20分もあれば充分だが、与えられた時間は120分。

 

なら、掘り下げるか。

 

なぜ岩船が、この地域で最も古い歴史なのかというと

古い時代に大きな潟で、天然の港だったから大昔から人が住み着いたのだと。

瀬波郡絵図 15世紀

 

以前、商工業会で開催した大滝友和先生の「岩船潟開拓の歴史について」の講演の中で、

排水機付近では石川は周りの田んぼより川の水面が高い「天井川」だと教わった。

それこそ、潟を農地に造り上げてきた祖先の労苦の証左であると。

 

職業訓練校の受講生の20歳前後の若者(私から見れば、子ども)にとっては

迷惑な話だろうなと思いながら、どうしてもこの話しをしたかった。

 

そのために市役所から地図をとってきて、

原初の潟の様子をイメージしてもらうように、山の際を赤く線で示した。

 

荒川も注ぎ込む大きな潟を想像してください。

大昔、フロンティアを目指して舟に乗って日本海を北上してきた人たちは、

この大きな天然の港に安心して舟を入れ、この地に住み着き、

漁業や農業で暮らしを立てたに違いない。

 

だから潟を見下ろす山の上に、暮らしを守る神様をお祀りしたのだと。

 

私は郷土の歴史ロマンに酔いしれて語った。

 

子どもたちは・・・

眠気をこらえるのにたいへんそうだった。

 

By 転がる石