ばい

数日前、ガソリンスタンドに寄ったら一回り年下の後輩たちが3人いて、
今の岩船の子どもたちは「○○ばい」と言わずに「○○鬼」と言っているが、
「ばい」が死語になったのはいつからだろう?と重大な問題提起がなされ、
そこから展開して、ところで「ばい」の語源は何だろう?
「けんと」の語源は何だろう?という話題になった。

そこで私は考察した。

私たち世代が最初に遊んだのは、保育園時代の「ぽこちゃんばい」である。
不二屋のキャラクターと関係があるのかは不明だが、語感が岩船弁とはかけ離れていて、
何とはなしに進駐軍の時代の名残のような、チープなアメリカの匂いを感じていた。

「ばい」の源流は「けんとばい」ではなかろうか?
「缶けりばい」も「助けばい」も「けんとばい」の進化した形だろう。

 いちにぃさんしぃごーろくしちはちきゅうじゅう

鬼が十まで数えるあいだ動いていたその他は、鬼が数え終わるとストップポーズをとる。
動いたところを鬼に見つけられると

 ○○くん、けんと

その一言で鬼に確保される。

 動いでねーにっか

抗議をしても

 今、口動いだ

鬼には逆らえない。
あらためて考えると、「ばい」での鬼は損な役回りではなく主役である。
いきなり早く数えたりして時空の支配者であり、罪を判じる裁判官でもある。
日本の歴史の中でも「鬼」の性格付けは複雑で、神でもあり極悪でもある。

日本古来の遊びの中に、おそらく戦後間もない頃、舶来の音(おん)を使ったのは
新し物好きな岩船人らしいシャレ心である。

You are kept by me! 
(ユー・アー・ケプト・バイ・ミー)
お前は私に確保された。

この中の「ケプト・バイ」が訛って「けんとばい」になり
やがて他の遊びも「○○ばい」と呼ぶようになった。

これが私の出した答えである。

「ばい」と呼ばなくなったのは、この国がアメリカンドリームを喪失した、
そう、バブル崩壊からではないだろうか。

byガンダルフ